2008/11/27

彼女について

よしもとばななさんの『彼女について』という小説がすごすぎてしばらくそのことばっかり考えている。
終わりにさしかかるまで淡々と話は進んでいき、とても読みやすい文章なのにすごくエネルギーを消耗するので、
読了後すぐはこてんと眠ってしまった。

主人公の境遇がとっても辛いのだけれど、言い換えれば人間のおそろしさというものをズバリ描いているなぁと思った。
そして、その主人公がとっても幸せそうに愛する人と別れるさまにはゆるぎない「癒し」を感じた。

日々の生活が美しく見えるのは、自分の状態が美しいから。
わたしたちの豊かさはポジティブなイメージに支えられているのだという内容にもぐっときた。

そして、小説を読み終わった後、友人とひさしぶりの再会。
まめに連絡を取り合うようなことはしないけれど、いつもなんとなく気にかかっていて、
大げさだけど絶対に味方だし、信じている友人だ。
しんどい思いをたくさんしながらも強く振る舞ってきた彼女がひとつの決断によってとっても穏やかに幸せそうにしていた。

そのことがとっても嬉しくて、奇跡のようにきれいだと思った

わたしも、ものすごく辛い思をしたわけではないけれど、しばらくぼんやりと体調が悪いときがあった。
朝、起きるのがとっても辛くていくらでも眠れるようだったし、別の心配事があって病院で検査もした。
「ぼんやりと」というのがミソで、結局のところは疑問を抱きながらも続けていた自分の行為に対するアラームだったように思う。
幸せそうな友人をみて自分の今にもなんだかとってもほっとした。

そんなふうに感じることができたのも小説のおかげもあると思う。
良い作品に出会えたことを感謝したい。


追記:よしもとばななさんが原田郁子さんの新しいアルバムにあてた文章もとってもすばらしかったので、是非一読を。
クラムボンのオフィシャルサイトから読めます。
原田郁子さんは最近よく聴いていたのでそのつながりにも驚きました。

2008/11/22

ひつじ日和

カフェという文化には縁がない生活をしていたのですが、このたびお気に入りのカフェができました!

知り合いのひとが常連さんというのもあったのだけれど、いちばん最初に店主の方とお話をしたのは、
お店に置いてあったDMの中に「ANODATTE」というパン屋さんのものがあったので
「今朝の朝食はANODATTEのパンでした」というおしゃべりから始まりました。
(浜松ではANODATTEの話をすれば絶対盛り上がるのでは?というほどにわたしの周辺では
ファンの多いパン屋さんです。
最近のヒットはジンジャークッキー。しょうが好きにはたまらないお味です。)
にこにことパンのおいしさをいっしょに話してくれた店主の上原さん。
とっても優しく、親しみやすく、ちょっぴりイタズラっぽいところが素敵なお兄さんです。
(でも、もうこんなことはとてもじゃないけど本人には言えないけれど!)

さて、そのカフェとは「読書空間 ひつじ日和」です。
読書空間という名の下に、様々な本と絵本と雑誌が置いてあって、 美味しい飲み物とワッフルなどの軽食と読書を楽しめます。
ついつい長居してしまいます。
上原さんの仕事はとっても上品で丁寧。
席に着いたらまず、煎茶とガーゼ生地のおしぼりを出してくれます。
そうゆう、ぴしっとした姿勢のよさからあの温かな居心地の良さがうまれているのだと思う。

ちいさなお店なのでひみつにしておきたいくらいですが、みんなにあの心地よさを味わってもらいたい。
もちろん置いてある本のセンスの良さもばっちりです。

2008/11/17

風景ルルル

静岡県立美術館のちょっぴり変わったタイトルの展覧会に行ってきました。
現代アートの展覧会なのですが、学芸員さんの意識の高さが伺える展覧会でした。

照屋勇賢さんのDessert projectという作品に感動。
地球をゼリーとスポンジ・ケーキとガムと砂糖で造形したもの、と言ったらそれまでなんだけれど、ものすごく多くのメッセージが込められていた。
メッセージ、というより問いなのかもしれない。
地球がとっても甘いデザートなのだとしたら夢のよう。
でも、そもそも地球がデザートなのだとしたらメインはどこなのだろうか?
デザートを平らげた後に待っているものは何なのだろうか?
あまくポップな見た目が裏腹なシニカルな視点に裏打ちされているというのが自分の好みのよう。

解説にあるように「断片的で、どことなく軽く、ゆるい」作品たちはじんわりと響いてきて、なんだか自分自身のこれからのことなどをぐるぐると考えてしまった。
美術館に行くということは、普段の生活ではなかなか触れることのできない情報に触れるということ。
影響力はとても大きい。
でも、それで落ち込んだりせずにポジティブにならねばと奮起。


美術館でみた山の景色のうつくしさも記憶にメモメモ。
景色がきちんとうつくしく映る日常に感謝!

2008/11/05

おいしい本

ちょっとした懸案事項を無事に乗り越えてやっと静かな日々。
読書の秋と芸術の秋を堪能したいなぁ。

食の秋に関しては、一緒に住んでいる友達と恋人がとってもスレンダーなので
低塩分高カロリーな食事が目標になっています。みんなでもりもり食べて体力をつけなきゃ。

食べ物の話と言えば、文章や構成に興味があってたくさん読んでいた「よりみちパン!セシリーズ」の平松洋子さんの『ひとりひとりの味』という本がとっても素敵だった。
中学生以上に向けられた食べ物にまつわる本で、食文化の違い、味わうことの楽しさ、難しさが親しみやすい文章でさっくりと語られています。
この本のターゲットの一番年齢の低い層、中学生にとって多くの場合、食べ物は毎日、口にして当たり前のものなのかもしれない。
あって当たり前、おいしくて当たり前、ひとつのルーティン。
でも、それをとーっても大切なことなんだよと気がつかせてくれる本。
瑣末なことも瑣末にしない丁寧な文章はときに大きな感動になる。
平松さんの初恋の人の食べる姿が好きだったくだりとお弁当のくだりでついつい目頭が熱くなりました。
悲しいわけでも、嬉しいわけでもなく、感動というジャンルの感情。
小説以外の本で感情を揺さぶる文章に会えることはとっても幸せだと思っています。

ちなみに、簡単なレシピもいくつか載っていて、
豚肩ブロックに塩をもみこんで寝かしておく塩豚はもう二回目。
シチューにしたらとろとろのお肉と濃厚なうまみがとってもおいしかった。
また、冒頭に出てくるレンコン団子は目から鱗がでるおいしさ。
生のまますりおろして片栗粉をすこし加えてまとめるだけでもちもち甘い。
今日のお弁当のおかずでした。
次は、トマトと牛肉のギョウザがたべたい!


さて、二人暮しを始めて、生活のリズムがだんだんできてきた頃合いの最近のわたしのほしいもの。
高機能な家電でも、おしゃれな家具でも、すてきなお洋服でもない。
それは、身の丈よりもちょっぴり高いところにある食器。
有田焼のモダンな白磁もよいのですが、縁の厚みと丸みがかわいらしい粉引の小鉢なんかがほしい。
地味で良いのできちんと人のぬくもりが感じられるうつわがほしいなぁ。
引き続き平松洋子さんの『平松洋子の台所』を読んでいたら、うつわに対する愛情の深さにも胸をわしづかみ。
骨董も好みの範囲で買ってみたい!

ちなみに『平松洋子の台所』の表紙の下部に書かれている「電子レンジ。捨てるよっ」の文にも胸をわしづかみ。
20年後の目標です。

Profile.

浜松在住。 社会とこども、人と人をつなぐものとしてのメディアに興味があります。